DATE: 2022/8

本学の繊維研究が2022年度「NEDO先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム」に採択されましたTopics

「水を使わない超臨界流体による染色技術」により、従来技術からエネルギーを45%削減

 

 5月に工学部物質?生命化学科の廣垣 和正准教授と本学発ベンチャー企業のサステナテック株式会社 堀 照夫代表取締役社長(福井大学 産学官連携本部 客員教授)による「無水?CO2無排出染色加工技術の開発」が、2022年度「NEDO先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム」の「エネルギー?環境新技術先導研究プログラム」に採択されました。
 本事業では、繊維の染色加工における全行程(精練?染色?機能付与)で、水に代わり超臨界二酸化炭素(scCO?)を利用する技術を開発します。通常の染色では大量の水を使用しますが、scCO?による染色(無水?CO?無排出染色加工技術)は、圧力容器の中で二酸化炭素を高温、高圧にし、気体でも液体でもない超臨界流体と呼ばれる状態で繊維を染色します。染色加工の全工程で廃水を出さないため環境負荷の低減と工程の合理化の両面が期待できます。また、使用したCO?の回収?再利用により、CO?排出量を実質ゼロ近くまで削減することを見込んでいます。
 この技術の確立に向け、福井大学、サステナテック株式会社を中心に、協力企業10社と京都工芸繊維大学、福井県工業技術センターが染料や薬剤の開発、衣料用繊維の種々に対応した染色整理?加工の研究を推進します。
 世界初の本技術が確立できれば、日本の染色整理産業の基盤強化、国際競争力の再強化が図れ、加えて本技術の海外展開により、地球環境問題解決への貢献も期待できます。