REPORT08さまざまな方面で SDGsの活動に注力している 企業を徹底調査

(左)株式会社アイジーエー
取材対象者 〉〉五十嵐 昭順さん(株式会社アイジーエー代表取締役社長)
探究者 〉〉上野 瑞生(国際地域学部2年)

(右)株式会社サカイドライビングスクール
取材対象者 〉〉木戸 保夫さん(株式会社サカイドライビングスクール代表取締役社長)
探究者 〉〉五十嵐 悠(教育学部1年)

株式会社アイジーエー

ファッションで自己表現

 昔のアパレル業界は、大量生産?大量廃棄が一般的でした。弊社でも2~3年前までは、必要以上の商品を作り、捨てていた過去があります。私は、苦労して企画し、材料を仕入れ、そして縫製など多くの人が携わった商品が廃棄される現状に疑問を感じていました。

ファッションショーの様子

 現在、弊社は「廃棄0」を目指して新たな取り組みを行っています。例えば、お客様から不要な洋服を回収し、古着として販売するヴィンテージストアの運営。
 また、お気に入りだったけど着られなくなった洋服をお直しする「想い出サービス」も開始。キズや汚れの補修だけでなく、お洋服を大切にしてほしいという思いから、素材や特徴に合わせたお手入れ方法を書いたお手紙も付けています。どちらもお客様から好評を頂いています。
 他にも、受注数のみ生産する「axes femme Red Label」の立ち上げ。生産可能枚数を示しながらECサイト上で受注し、注文件数が条件を満たすことで商品を製作する仕組みを導入しました。これが主力になれば、廃棄する商品を無くすことができます。
 ブランド立ち上げから20年経った現在、この先も年齢、体型、性別、国籍、宗教に関係なく多くの方にファッションを楽しんでもらおうと思っています。今年9月には、多様性をテーマにしたファッションショーを越前市と共同で開催しました。ファッションで自分を表現するこのショーで、多くの方にダイバーシティ(多様性)の考えを知って頂けたと思います。「みんな自己表現していいんだよ」ということをブランドとして、今後も発信していきます。

UENO’S STEP UP

 五十嵐社長とお話して、全ての人にファッションの楽しさを知ってほしいという思いが強く伝わってきました。私は背の高さにコンプレックスがあり、周りからは「背が高いと何でも似合うね」と羨ましがられるけど「丈が合わない」「女子らしい服や可愛い服が似合わない」と度々悩むことも…。そんな私にとって「誰が何を着てもいい。みんないいんですよ」という言葉はグッと心に響きました。一人ひとりの個性を認識して、それを活かせる取り組みができたらいいなあ。

株式会社サカイドライビングスクール

自動車学校と地域の関わり方

 弊社は、50年以上の間、地域に根差した自動車学校として、お客様一人ひとりに合わせたきめ細やかな教習を行っています。しかし自動車学校の世界は、厳しい時代に直面しています。少子化や若者の車離れにより入校生の数がピーク時の半数近くになり、この数年でいくつもの自動車学校が閉校しています。また、昨今では世の中の環境に対する配慮の高まりを受け、CO2削減の努力も必要です。そんな今だからこそ私たちは、この課題に対応するためSDGsの開発目標に取り組もうと考えました。教習車のエンジンオイルや廃タイヤなどを適正に処理、FSC認証リサイクル紙を利用するなど環境を意識した取り組みを行っています。学校移転の際は照明のLED化、節水トイレの導入、バリアフリー化を行い、学校のレイアウトを誰にでも優しいユニバーサルデザインにしました。
 また、福井は公共交通インフラが十分ではないため、高齢者の中には車がないと生活が維持できない方がいます。しかし、判断能力の低下でアクセルとブレーキの踏み間違いで事故を起こす方もいるのが現状です。そのため私たちは、高齢者講習を通して認知機能を検査し、ドライブレコーダーを使って自身の運転を見返してもらっています。そうすることで免許の返納を一律に義務づけるのではなく、自らの判断能力の状況を理解してハンドルを握る責任感を再確認してもらいます。
 弊社にとって一番のSDGsの取り組みは、雇用維持も含め学校運営を維持し続けること。地域社会に貢献することで、持続可能で交通事故のない社会、誰もが安心安全で暮らせる地域を実現させる自動車学校の筆頭となり、交通事故ゼロの地域交通インフラを実現させたいと考えています。

IGARASHI’S STEP UP

 社長と聞いて少し緊張していましたが、実際にお会いすると、とても気さくな方でした。少子化の影響で、自動車学校は冬の時代になるのかなあと思っていましたが、地域密着をキーワードに、地域に必要とされる自動車学校を目指しているところに共感しました。