西沢 徹 先生

さまざまな観察で直物の目に見えない実態を掴む!

植物を分類する

さて、いきなりですが、キャベツ、ブロッコリー、レタス、カリフラワーの中で系統が異なるものはどれだと思いますか。これらの野菜は小中学校の理科の授業でも触れているものですが、理科教育を学んでいる学生にも難しい問題 です。花や葉の形、色、根のつくりなどいろいろな角度から観察して仲間分けをしますが、このように観察だけでは解らないこともあります。

学生時代に植物の魅力にとりつかれる

私はフィールド調査をして様々なアプローチから植物の生き様を知ることが好きで、生物の進化や分化の道筋に基づいて植物の多様性を研究する植物系統分類学を主な研究分野にしています。もともとは漠然と理科の教員を目指して教育学部に入学しましたが、高校時代の生物の恩師から同じ大学の理学部に植物を研究している同郷の先生がいるということを聞いて会いに行き、そのままその教授と意気投合し、白山の調査などに押しかけ参加していました。何十年も分布が不明だった植物の調査をしたり、他の山の生物多様性と比較をしたりと貴重な経験をすることができ、そのまま植物にどっぷりとハマってしまいました。より植物を深く学びたいと修士課程は理学部に進み、もっと深く知りたいと博士課程、ポスドクと進むうちに研究者になっていました。

植物の繁殖について研究

マムシグサ私は主にテンナンショウ属のマムシグサという植物の繁殖様式や性転換の進化に関する研究を行っています。動物の性転換は不可逆的ですが、この植物の場合はある年は雄に、ある年は雌、ある年には無性にもなるなど何年と生きる間、毎年違う性を見せることがあります。こうした植物の繁殖の実態を明らかにしていくのですが、フィールド観察だけでは、肉眼で見ることができない現象を追跡することができません。例えば次世代に残す子孫の数は、雌ならば結実した種子の数で解りますが、雄としてどれだけ種を残したかは観察ではわからず、長年推測値で研究されていました。しかし技術や機械の進歩?小型化のおかげでDNA鑑定を一つのツールとして研究に利用できるようになり、観察では解らない違った事実が見えるようになりました。フィールド調査も楽しいけれど、こうしたツールによってこれまで目に見えなかった現象を追うことができるのは研究の面白いところです。

植物の繁殖について研究

研究者の道に進むことになったのも偶然の出会いや出来事が大きく関係しているため、人生何があって進んでいくかわからないと思います。私が植物にハマっていったきっかけも、自分の指導教員以外の研究室にも押しかけていって いろいろな話をしたことからです。興味のある分野の先生の所に押しかければ、視野を広げることになり、新しい何かが広がっていきます。研究室はみなさんが思っているほど敷居が高いわけではないので、授業内容に限らず気軽に話しに来て欲しいと思います。ちなみに、始めに出した問題の答えは一つだけキク科のレタスです。ということで是非押しかけてきて下さい!

今ハマっていること★

P9_03飛行機の写真を撮るのが大好きです! 子どものころ地元の飛行場に連れて行ってもらうのが楽しみで(空港 のアイスキャンディー目当て?)好きになりました。しかし最近行く時間がなく、ストレスが溜まっています。写真は初秋の旭川空港で撮影したMcDonnell Douglas MD-81。リアマウントジェット最高です。