FACE

ホーム >   >  平成22年度繊維学会年次大会 若手優秀ポスター賞

平成22年度繊維学会年次大会 若手優秀ポスター賞

工学研究科ファイバーアメニティ工学専攻1年

北川紀江

若手優秀ポスター賞を受賞して

この度,東京で開催された平成22年度繊維学会年次大会において「電子線グラフト重合によるパラ系アラミド繊維の染色性改善」という題でポスター発表を行い,若手優秀ポスター賞を受賞致しました。

パラ系アラミド繊維は高い難燃性や耐熱性を有し,鉄と比較すると5分の1倍軽く,また同一重量の場合8倍の強さを持つスーパー繊維です.それゆえ船体?航空機などの最先端分野から防弾チョッキやスポーツ用品など幅広く用いられます.しかしながら同繊維は高結晶性であるため染色が困難という問題点があります.そこで「電子線グラフト重合法」を用いたパラ系アラミド繊維の染色性改善に取り組みました。

電子線グラフト重合法とは高エネルギーである電子線を繊維?高分子材料に照射することでラジカルを生成し,機能性モノマーをグラフト重合させる方法です.機能性モノマーとしてアニオン性を持つモノマーをパラ系アラミド繊維に電子線グラフト重合して,カチオン性を持つ染料とイオン結合することで染色することに成功しました.さらに染色性改善だけでなく色の落ちにくさを示す染色堅牢度の向上についても検討しました.この研究においてパラ系アラミド繊維にアニオン性を持つモノマーを電子線グラフト重合できたことは,同繊維はもちろん他のスーパー繊維にも様々な機能性を付与できる可能性を示します.例えばパラ系アラミド繊維は紫外線に弱いため,紫外線を吸収する機能を持つモノマーをグラフト重合させれば,紫外線による劣化を少なくすることができます.他にも撥水性や消臭性などの機能を付与させれば用途範囲やシェアの拡大に繋がります。

今回,若手優秀ポスター賞を受賞し,一生懸命取り組んできたことが認められて嬉しかったです.また両親が大変喜んでくれたことも嬉しかったです.最後に,本研究を行うにあたりご指導してくださった廣垣和正助教ならびに堀照夫教授,久田研次准教授,田畑功技術職員,そして研究室の先輩方や仲間たちに深く感謝致します。

ページの先頭に戻る
前のページに戻る