工学研究科 原子力?エネルギー安全工学専攻2年
田中智大
この度,静岡県浜岡原子力館にて開催された平成22年度日本保全学会 第7回学術講演会学生セッションの部において「破壊靭性値の板厚効果のT33-stressによる表現;試験片構造の差異」という題目でポスターセッション、口頭発表を行い、奨励賞を受賞致しました。
我々の研究対象としているのは”破壊靱性値”というき裂を有する材料の強度です。その内の延性-脆性遷移温度域における材料(例: 照射脆化を受けた原子炉圧力容器鋼)の破壊靱性値が試験片の寸法や構造に対して依存性をもつということを,過去に様々な研究者たちが表現を試みてきました。我々が着目したのは中でも板厚効果と呼ばれる依存性です。この板厚効果については最弱リンクモデルを用いた手法が示されていますがこの手法には克服すべき課題があり、そこで我々は力学パラメータであるT33-stressによって、破壊靭性値の板厚効果を表現できるのではないかと考えました。そのため有限要素解析、破壊靭性試験の両方により、破壊靱性値の板厚効果のT33-stressによる実験式を提案することができ、さらには破壊靭性値の3点曲げ試験片、CT試験片といった試験片構造の差異についてもT33-stressによって表現することに成功しました。
今回の発表でこのような賞をいただき大変喜んでおります.日々の研究成果がこのように評価され,今後の研究に対しての意欲もさらに高まっております。 最後に,本研究を行うにあたりご指導してくださった飯井俊行教授,そして研究室のメンバーに深く感謝致します。